昭和旧車部門
デジタル制御クラシックカー
デジタル制御クラシックカーとは、いかなる内容であるか御案内致します。
《その1・ECUとセンサー類》
極めて専門性が高い特殊技術分野なので、作業内容と作業理由を併せて御解説いたします。
そもそもクラシックカーとは・・・
◎クラシックカー・・・主に昭和年代の旧車&平成初期頃の旧車
◎クラシックカーのエンジン制御方式・・・キャブレター制御・もしくは故障が多い黎明期エンジンコントロールコンピューター
制御(旧式ECU制御)のどちらかになります。
◎キャブレター制御は古風な趣はあるが季節毎の調整が必要であり、一方、旧式ECU制御は黎明期の技術ゆえに故障が多く
修理自体も困難である、等々といづれにしても維持管理に苦労することも多々ある
(※HPでの参考例は、名機L型エンジンを搭載する昭和のフェアレディZです)
対して、デジタル制御クラシックカーとは・・・
最新鋭ECUを制御の中心に据えて、各種高精度センサー・各種高精度燃料供給部品・各種高精度点火部品・などを用いて、
現代車輌同様にエンジンを稼働させることを意味します!
※即ち現代車のように安心快適・維持管理も簡単・高馬力なのに低燃費で環境に優しい、という進化した旧車のことです。
製作上のこだわりポイントは、クラシックカー独特のレトロ雰囲気は大切に残すこと。
一見では気づかぬほどに、エンジンルームは昔ながらのキャブレター制御のような雰囲気に仕立てます♪
古風なキャブレター制御に似た外観を演出しつつ、中身は高性能という良いことづくめの進化メニューです。
◎写真はデジタル制御クラシックカーの要である最新鋭ECUです☆
この黒いECUが司令塔となって、各種最新鋭センサーや最新鋭部品を稼働します。
◎各種センサーの内容は、MAP圧力センサー・水温センサー・吸気温センサー・スロットルポジションセンサー
・A/Fセンサー・ノックセンサー・クランク角度センサーです。
これら多数のセンサーから情報を得て、ECUがエンジンを制御します。
◎ECU~各センサー~各部品をつなげる大動脈であるエンジンハーネスは、ゼロから製作仕上げするワンオフの手作りです。
物量的・精度的に、かなり多くの時間・手間をかけて製作致します。
◎ECUの指示内容はダイナパックテスト走行装置を用いて現車セッティングを行い書き込んでいきます。
当然、デジタルな指示内容もゼロからの製作です。完全白紙からのデーター製作なのでダイナパックテスト走行装置を
最大限に活用します。
《その2・燃料供給と点火部品》
最新鋭ECUからの指令を受けて稼働する、最新鋭燃料供給部品と、最新鋭点火部品
※現代車のように安心快適・維持管理も簡単・高馬力なのに低燃費で環境に優しい、という旧車製作に直結する高品質部品です
◎最新鋭燃料供給部品
ファンネル吸気口や多連スロットルがレトロ雰囲気を演出し、まるで昭和のキャブレター部品に見えてしまいます♪
・ところが中身はECUによる電子制御式のインジェクションKITです☆
・なんと燃料噴射インジェクター本体はR35GTR仕様・12Hです☆
・12穴式のキメ細かな高圧燃料噴射の恩恵でハイパワー・ハイレスポンス・さらには燃費良好になります♪
加えて環境にも優しいです♪
・スロットルポジションもセンサーにてアクセル開度判別を行います☆
・燃料ポンプを近代車同等の高圧ポンプに交換し、燃料レギュレーターで燃圧調整を行います☆
・燃料ポンプへの電源供給もECUにて制御します☆
◎最新鋭点火部品
・旧式のデストリビューターやプラグコードを撤去します。
昭和車の旧式点火では、全回転域に対する適切な点火時期設定ができません。
(ゆえ重要視する回転域のみに合わせて点火時期設定することになる)
・対して最新鋭点火部品ではECUと各種センサーの連携プレーにより、最適な点火時期を、全回転域にわたって
細かく設定できます。回転数だけでなく、水温や吸気温やノッキングに対する点火時期補正も行います。
火力自体も超強力です。ダイレクトイグニッション方式と呼称されます。
点火部品はR34GTR仕様であり、当然ながら耐久性・信頼性も極めて高いです。
(日産純正クランク角センサーは、マルチトリガー採用にて高回転対策済)
・全回転域における最適な点火時期設定により、坂道発進もスムーズ・渋滞ノロノロ運転も簡単・それでいて高回転では
ハイパワー炸裂という仕上がりを可能にします!
(※旧車であろうと、街中での通常使用時の快適性に、最大限の気を配っています)
・クランク角センサーはカメアリ製のL6後期シャフトにて駆動
◎アイドルアップ用トヨタ純正部品
入手も簡単で流用しやすいトヨタ純正部品によりアイドリングを微調整します。
低水温時やエアコン使用時など、回転が低くとも負荷が高い時に、200回転アイドリングUPをするよう指示を設定します。
街乗り運転時の快適性に貢献します。
《その3・作業工程画像》
高精度燃料供給部品&高精度点火部品の、実際の取付作業や、配線作業
◎上画像は作業前図です。昭和フェアレディZの純正ノーマルなエンジンルーム。
配管・配線などが多く不規則にゴチャゴチャしています。
整然としておらずゴチャゴチャしていると、それだけ故障の可能性が上がってしまいます。
かつ故障の早期発見や、早期修理が遅れてしまいます。
※見納めの純正ノーマル画像は、以降の比較検討用に御参考ください。
◎上画像は、純正燃料供給部品と、純正点火部品を撤去した状態です。
寂しいくらいに何もない感じですね
◎エンジン本体には全く手を入れず完全ノーマルエンジンのままで、最新鋭デジタル制御だけによる、馬力向上
レスポンス向上・フィーリング向上・燃費向上等を狙います♪旧式制御では引き出せない、潜在能力を目覚めさせます!
◎上画像は、高精度燃料供給部品・高精度点火部品の部品取付のみが完了した状態。
そこへ燃料&点火部品~各種センサー~ECUを接続すべくエンジンハーネス(メイン配線)を製作します!
最も時間と根気を要する繊細な作業です・苦笑
◎ひとまずは耐熱チューブ等をまかずに、配線むき出しで仮接続します。
何かあったら即発見できて、即手直しできるよう備えます。
◎実際御覧になられたら、皆様の誰しもがきっと驚かれる程の配線ボリュームです。
◎上画像は、メインハーネス完成状態。
完成してしまうと、かなりスッキリのコンパクトです。電気的ノイズ対策や、耐熱保護対策も同時施工しています。
◎室内のメーター計器類は、全て純正オリジナルを稼働するようにコダワリました。
(※純正の旧式計器類は制御方法が違うので、本来は稼働できない※)
《その4・強化部品装着》
◎経年劣化したセルモーターを、せっかくなので強化品セルモーターに交換☆
強化品はやはりクランキングスピードが断然速いです!エンジンの始動性にも好影響です♪
◎装着図の高精度燃料供給部品は多連スロットルなので、アクセルワイヤー(ロッド)の形状が異なります。
ゆえにアクセル関連も現車合わせの加工が必要です。
◎排気系の一式も、高効率な製品へと変更いたします。
御参考までに同部位の純正部品(サビている部品)との比較画像をごらんください。高効率化は一目瞭然ですね♪
◎オーバーヒート予防として、オイルクーラーを装着しました♪
L型エンジン車に本来備わらない、大型オイルクーラー装着はクーリング効果絶大♪
《その5・ソフト部門の作業工程》
ECUデジタル制御にてエンジンを稼働させるデーター作製
◎上画像は仕上げ工程である、ソフト部門作業です!
昭和Zの車内にノートパソコンを持ち込み、USBケーブルにて接続し、完全白紙の最新鋭ECUに1から指示を
書き込んでいきます!理想的クラシックカーを実現すべく、ダイナパックテスト走行装置を最大限活用し、
何日もかけデーターを造り込んでゆきます。
◎ベースデータも何にもない本当の白紙状態。
ひとまずはエンジンをかけるためのデータ製作と各種初期設定を行います。
ソフト部門では正しい初期設定と、アイドリングさせることが最初の難関です。
※初期設定はかなり長時間苦労します
◎アイドリング可能になった次は、高精度燃料供給部品&高精度点火部品を、各種センサー値を監視しつつ、
ECUからの指令にてエンジン回転数を上昇させながら稼働させるデータ製作。ソフト部門はとにかくデータ製作です。
最新鋭・高精度な部品達を正しく稼働させるべくデータ製作は最重要作業です!
※気持ちを込めて施工しますが、比例して肩コリも辛い(笑)
《その6・デジタル制御クラシックカー完成・解説》
高精度燃料供給部品&高精度点火部品を、各種センサー値を監視しつつ、ECU制御にてエンジンが稼働しています。
現代車のように安心快適・維持管理も簡単・高馬力なのに低燃費で環境に優しい、という理想的なクラシックカーの完成です。
エンジン本来の潜在能力を引き出し、馬力もレスポンスも運転フィーリングも各段に向上。
◎上画像は高精度燃料供給部品
輝くラッパ型ファンネルを装備し、昭和旧車キャブレターに見えます♪
しかし実は、クラシカル雰囲気を演出しつつ電子制御インジェクションシステムです。
インジェクターはR35GTR同等の12ホール式。アクセル開度はスロットルポジションセンサーにて監視。
※ラッパ型ファンネルを装着した多連スロットルゆえに、エンジン吸気音はキャブレター車に近い心地よい
音色を奏でる♪というオマケ付き!
◎燃料供給部品へのコダワリ付属品
横長い丸棒状の金属筒は、やや大きめサイズの負圧タンクです。
加えて、更に大きな負圧タンクを丸棒筒と連結連動させ大容量化しています。
(大きな負圧タンクは目立たない位置にブラック外観で設置)※本来、負圧が安定しにくいラッパ型多連スロットルです。
しかしながら、エアコンを備えた街乗り・渋滞時のノロノロ運転・左右確認しながら左折安全運転・暖機時アイドルアップ
等々・・・快適性を考えると安定した負圧情報はECU制御にとって極めて重要と考えます。
私なりの考え方を形にしたコダワリです♪
◎燃料供給部品へのコダワリ付属品
安定した負圧獲得により、R35GTR仕様インジェクターへの燃料供給圧力はフューエルレギュレータにより
コントロールします。エンジン負圧に応じリニアに燃料圧力を変化させ、低燃費&高出力を両立。
一方、ブローバイガスはキャッチタンクにて回収し大気を汚さぬよう配慮。
◎上画像は高精度点火部品
R34GTRのダイレクトイグニッションコイルです。強力な火花を供給します☆
純正状態において沢山あったプラグコードもなくなり、とてもスッキリしました☆
※強力な火花へのノイズ対策も施工し、各所にアース配線を増設・増強済。
◎点火部品へのコダワリ付属品
R34GTRのクランク角センサーです。
内部の光学センサー用プレートはマルチホール式に改良して利用します。
クランク角センサーによる情報を利用して、アイドリング~高回転まで細かく点火時期設定を行います。
※回転数に対する細かい点火時期設定は快適性・低燃費・高出力の実現に欠かせない内容。
元々はデストリビューターがついていた場所です。純正時の大量部品が無くなりスッキリしました。
◎各種センサー・リレー・配線
各種のセンサーやリレーなどはワンプレートにまとめました。
当然ココにあるだけが全部ではなく、他にも多数のセンサー&リレーを使っていますが、整理整頓できるものはキレイに
配列したという感じです。
※私なりの考え方ですが、流行りのワイヤータック(配線隠し)は、トラブル早期発見には妨げとなるので行いません。
ゆえに配線関係は整理整頓し、あえて可視化状態とし、今後のメンテナンス性を優先します。
◎冷却部品強化
オーバーヒート予防として、オイルクーラー新設・電動ファン新設・ラジエターオーバーホールを施工。
近年の真夏は酷暑なので、温度管理やオーバーヒート予防対策はとても重要です!